自作短編小説 モンスターハンターver パートⅠ 

雪がしんしんと大地に降り積もっていた。
足跡をつけるのが悪く思えるほど、綺麗で真っ白な雪だった。
見上げると満天の星空が輝いている。
どこをみても人影さえ見えないような大地を、僕は踏みしめていた。




何かが足にさわった。
僕は地面を見た。
そこには藍色のピアスが雪の上にポツンと置いてあった・・・



あれは半年前のことだった。
ぼくはドンドルマという街で武器商人を営んでいた。
すると僕が作った武器に執拗なほどに興味をしめす者がいたのだ。
その人は、黒髪で深く帽子をかぶり長いマントを着ていた。
年齢は、18から20といったところだろう。
その人が興味を示していた武器は、「ゴールドイクリプス」という武器だった。
その人は僕に武器の値段や属性、素材の採取場所までもを聞くのだ。
僕は質問に答えているうちに飽きてきて、話を1歩進めてみた。
「お買い上げですね??」
なにせゴールドイクリプスは高価で、素材を手に入れるだけでも苦労した品だ。
それを買ってくれるというのであればこれほど嬉しいことはない。
だがそう僕が問いかけても、彼は懐から財布を取り出そうとはしなかった。



いくらか時間が経った。
僕は付き合えきれず、新しく作る武器の設計図を書こうとした。
すると彼は懐から何か取り出した。
それを大事そうにかかえ、彼はこう言った。
「すまないが・・・これとゴールドイクリプスを交換してもらってはどうだろう・・・??」
僕は彼は取り出したものを手にとった。
それは球状の水晶のようなものだった。
僕は彼にこう言った。
「これの価値はどのくらいでしょうね、僕が見る限りでは・・・ガラス球か何かじゃないんですかね。」
これを聞いた彼はとんでもないといわんばかりに、僕の手から水晶を取り上げた。そしてびくびくしながらこう言った。
「こ、この価値がわからない人にこれを預けるわけには行きません!」
そういうと彼は水晶を懐に戻し、こう付け加えた。
「そこの・・・骨のやつはいくらですかね。」
僕は話を戻した。
「ちょっと待ってください、その水晶にはどのくらいの価値があるのですか。」
彼はまた懐から水晶を取り出し、少し得意げにこういった。
「こいつはメランジェの水晶ですよ!!原石を10年かけて丸くしたんです!なにでかって?水ですよ、流水の力で10年!!そりゃあ相当の価値ですわ・・・」
彼の自慢話が始まりそうだったので、僕は水晶をかしてくれといった。
彼はまた僕に水晶を渡した。
僕は彼にこう言った。
「これが本物のメランジェならば、火をつけても燃えないはずです。メランジェにはほかの宝石とはまた違う、特殊な性質を持っていますからね・・・。」
そういって僕は、バッグからマッチを取り出した。
彼の表情は一向に変わらない。
彼は僕にこう言った。
「・・・・いいでしょう、それが本物かどうか試すいい機会です。なにせそいつももらい物でしてね、私も正体はわかっちゃいません。まぁ、そいつが偽者だったら・・・私がそいつと交換したドドドが水の泡でね・・・」
彼は今ものすごいことを言った。
僕は驚いて、思わず聞き返してしまった。
「ドドドとこいつを交換・・・??あなた、かなり強いんじゃ・・・??ドドドなんて普通に手に入る代物じゃないでしょう??」
彼はまた得意げになった。
「ええ、もともと私は砂漠のほうでハンター業を営んでましてね・・・ですが今年、配属先が遠い雪国に変わってしまったんです。そりゃあもう大変ですよ!!防具も何もかもスタイルを変えなきゃいけない・・・・。その中でドドドも氷なもんで、使いもんにならなくなってね・・・。そんなことで、火の武器が欲しいなと思ってたところなんですよ!まぁ、あなたはいいところに・・・・ゴールドイクリプスなんて・・・・天の救いですよ。」
彼は笑っていた。
僕は彼の話に興味がわいた。
そしてこう言った。
「よく砂漠でドドドが手に入りましたね・・・。ですが・・・ドドドはまだ雪山で使えますよ?ラージャンがいるじゃないですか・・・・。」
僕がそういうと彼は鼻で笑って、こう言った。
ラージャンなんて!!!遠い将来、いや一生待っても来ないかもしれない・・・あれは化け物ですよ!!まぁ出会っても逃げますがね!」
僕は少し恥をかいたと思った。
武器商人で無知なくせに・・・・なんだか的外れなことを言ってしまった。
そんなことをしている間にも、僕はマッチに火をつけた。
その火を水晶に近づけた。


それは信じられない光景だった。
火が青白く輝いている。
それも水晶に触れた部分だけ・・・・!!
僕は直感的にかんじた。
これはゴールドイクリプスより価値があると・・・!!